健全な法治国家のために声をあげる市民の会

検察審査会問題

現在、当会が、検察審査会における大きな問題と考えているのは、以下の2点です。

1. 小沢一郎氏の検審起訴(強制起訴)について

検審問題を語ろうとすると、すぐに「親小沢」というレッテルを貼りたがる人たちがいます。しかし、私たちはそういう観点からこの問題を見ているわけではありません。

検察が狙いをつけ、リークによってマスメディアを操りつつ、本来、検察の業務を審査するべき機関である検察審査会を、子飼いの武器として利用すれば、総理総裁候補である政治家であってさえも冤罪に落とし、その結果、国家の政局を完全に左右できるという事態は、まさしく、検察こそが、第4権力どころではない、日本を支配する事実上の最高権力であるということを意味します。

ですので、これは、村木さん問題に負けず劣らず、ある意味、それ以上に重要な問題であると考えます。小沢氏を支持するしないの問題ではなく、それが自民党であれ、社民党であれ、共産党であれ、公明党であれ、国民の選挙で選ばれた議員の首を、検察が己の意図で自由に切ることを、断じて許すわけにはまいりません。

これこそ民主主義の崩壊です。

いや、はっきり言いましょう。私たちは日本の脆い民主主義が、音を立てて崩れ落ちている、その場に立ち会っているのです。

では、具体的に私たちになにができるのか。

小沢一郎氏の強制起訴を決定した検察審査会において、吉田繁實弁護士が、政治家の関係をヤクザの関係に例えるなど、一般常識で判断しても適切とは言い難い例を挙げるなどして、平均年齢が非常に若い審査員を、故意に誘導した疑いが読売新聞に書かれています。
(※参考:2010年10月14日に宮崎学氏が、吉田繁實弁護士の懲戒請求)

それが事実であれば、審査会の意義の根本が揺るがされる極めて不穏当な事態であるため、匿名のまま議事録を公開を求めていきたいと思います。

また、この平均年齢が二転三転したことや、現段階でも数値に矛盾があること、さらに第一検審の審査員の平均年齢と小数点以下2位まで合致するということは、数学的に著しく低い確率であること、また、単に年齢だけから個人を特定することは不可能であることから、各審査員の個別の年齢の開示、ほか、考えられる限りの、可能性のある情報開示を求めていくことで、検察審査会の姿を明らかにしていきたいと考えています。

この、小沢氏の検審起訴に関する検察審査会問題を時系列にまとめてみました。資料としてご活用下さい。

2. 前田恒彦元検事の不起訴相当決議について

また、2011年4月9日、東京第一検察審査会から、前田元検事の特別公務員職権濫用罪についての当会からの申立に関して、「不起訴相当」の議決が出たとの連絡がありました。
この議決書及び理由書は、こちらからダウンロードできます

この理由書が驚くべき内容であります。

ある意味、昨年12月24日の最高検の検証報告書と前田の証拠隠滅罪での起訴状を「見事に踏まえた」内容で、ほとんど「結論ありきで、理由は後付け」のようなものとなっています。当会の申立書追加意見書が訴えていることにも何も答えていません

特筆すべきは、村木さんの裁判で信用性がないと却下され、この理由書ですら「現在においては、供述調書の信用性にも問題がある」とされているような上村氏の供述調書を「誘導的な取調べ等によって供述調書を作成していた旨の報告を受けていたと認めるに足りる証拠も見あたらない」ので、前田検事がそのまま信じたという「ありえないこと」をもって、それが特別公務員職権濫用に当たらない最大の理由としている矛盾です。

小沢一郎氏の検審起訴のケースについても、平均年齢の怪や補助弁護士の誘導が指摘されましたが、ただし、小沢氏の場合、報道のバッシングがあまりにもすさまじかったということもあり、審査員が大手メディア報道にしか接していない人々であるなら、あの結論を出すことは、まったくありえないことではないという見方もできますが、この件に関して、ここまで前田元検事および検察に寄りそった結論が出て、またその論理展開がこのような、あれだけ批判を受けた最高検の検証報告書の見解そのものの内容になるというのは、異様としか言いようがありません。

小沢氏のケースにも言えることですが、「疑わしきは罰せず」の原則を踏みにじって、何の客観的証拠もないのに村木さんを長期拘束し起訴した、ほかならぬ前田元検事に、この原則をもってあえて審理すらせず罰しないというのも、ダブルスタンダードこの上ない結論と言えるでしょう。

さらに奇妙なのは、不起訴決定が出たのが12月24日という年末年始休暇直前(明らかに付審判請求をやりにくくするためとみられます)。今回は、申立書を1月11日に出しているにもかかわらず、震災があったとはいえ3ヶ月以上もかかっていることです。(通常1ヶ月から長くて2ヶ月と聞いています)

前田元検事の公判がスピード判決であったことと合わせ、なにがなんでも証拠隠滅罪での判決を待って、それをもって、素人の審査員を強引に誘導した可能性も高いと思われます。

もちろん、ここまでの曲解があるとなると、審査員に、はたして当会の申立書をじっくり読む機会を与えられたか、どのように審査員が選抜され、何度審議されたのかも疑問であると思います。

また、それと同時に、補助弁護士がどのように選ばれているのかということも正確に明らかにされるべきでしょう。
日弁連から無作為に推薦を受けた弁護士から検察審査会事務局が選任しているのであるのだとして、その検察審査会事務局が検察の影響下にあるのであれば、どこまでも検察べったりの補助弁護士を選任し、さらにその審議内容が公開されないのであれば、その補助弁護士と検察官で、素人の審査員をいくらでも誘導できるわけですし、もちろん、十分な審議を尽くさずに理由書を作文することもできるからです。

つまりこのことで、検察審査会の問題が浮き彫りになったということもいえます。逆に言いますと、すでに疑惑の渦中にある検察審査会は、その存在の正当性を示すことができる最後のチャンスを失ったといえるでしょう。

識者の皆様の声

  • 江川紹子氏「検察審査会が、前田元検事への職権濫用罪の告発に対して不起訴とした判断について、「不起訴相当」の判断。検察官と補助弁護士が審査委員にどういう説明をしたのかが問題。検察審査会は、こういう捜査機関の権力犯罪をチェックすることが期待されているが、実はそれができない仕組みなのではないか。」
    http://twitter.com/amneris84/status/63584664308293633
  • 郷原信郎弁護士「この議決書は、最高検の検証結果と言っていることがほとんど同じですね。それに対して、素人的な疑問をぶつけて、「裁判所の最終判断を求める」という小沢事件で出てきた検審の理屈は完全に消え失せています。政治色が特に強かった小沢事件だけが特別だったということでしょうか。」
    http://twitter.com/nobuogohara/status/64856898343669760
  • 山下幸夫弁護士「私は市民感覚に反した結論に驚いています。」
    「実際には審査補助員と呼ばれる弁護士の言動や見解が大きな影響を与えているように重いますので、そこに問題がある場合があるように感じています。」
    http://twitter.com/crusing21/status/66005192105144320
    http://twitter.com/crusing21/status/66054750554165248
  • 市川寛弁護士「前田元検事に関する議決では、小沢氏に関する議決の論法は全く窺えず、最高検が発表した報告書の論法に完全に依拠した「不起訴相当」の議決がなされており、いくら両方のメンバーが違うといっても、このアンバランスさはなんなんだという問題が起きるわけです。」
    「裁判所の判決書を読めば、民事・刑事を問わず、何が訴えられたのかは必ず分かる。訴えられたことに対する回答が判決書だからだ。しかるに、前田元検事に関する検審の議決書と申立書を読むと、前者は後者の「訴え」に全くと言っていいほど回答していないことが分かる。まずいでしょ、これは。」
    http://twitter.com/TriggerJones42/status/64107242647068673 http://twitter.com/TriggerJones42/status/64173785963708416
  • 岩上安身氏「昨日、明らかになったこの決定、震災のドサクサに紛れてのこの卑劣」
    http://twitter.com/iwakamiyasumi/status/64013154081964032

その他、多数の皆様から、「信じられない」「酷い」「国民不在」等々たくさんの、検察審査会の決定の不透明さに対する批判の声を頂きました。

したがいまして、今後、当会では、検察問題と並んで、検察の補完装置と化したことが明らかな、検察審査会の問題を追及していきたいと思っております。