現在、当会が、検察審査会における大きな問題と考えているのは、以下の点です。
国有地の売却に関連する文書は、その事案が終了したのちも、最低5年から30年の保管が義務付けられています。
にもかかわらず、この森友事件における公文書の廃棄は、事案が終了していない、すなわち、売買金額の支払いも終わっていなければ、売買に付随する条件の施行も完了していなかったにもかかわらず、単に契約書を交わしただけの行為をもって、事案が終了したと強弁し、さらに、国会議員や総理夫人なども関連する重要な記録を、「軽微な書類」として廃棄したという、まさに公文書管理法を足蹴にするような事案でした。
虚偽有印公文書等作成及び行使については、決裁文書の75ページ中60ページにわたって300ヶ所に及ぶ削除や改ざんを行なったという、近代国家の常識としてありえない事態で、しかもそれらの改ざん文書を国会や会計検査院に提出していたというものです。
公文書の正しい管理というものは、過去に行われた事柄、すなわち歴史を正確に記録し、必要に応じて確認することができる状態を維持するために、最低限必要なことであり、まさに民主主義の根幹をなすものです。
その公文書管理をないがしろにし、恣意的に捨てたり改ざんしたりした行為を容認することは、民主主義の自殺行為といって等しいものです。
実際、この事件においては、近畿財務局局員の方が自死されるということまで起こっており、到底、座視できる問題ではありません。
2017年5月14日、当「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」は、学校法人森友学園に対する国有地売却に関して、近畿財務局及び財務省が、面談や交渉の記録などを廃棄していた件につきまして、公用文書等毀棄罪容疑で、東京地検に、告発状を提出、さらに、その後、近畿財務局及び財務省が、面談や交渉の記録書類14点について300箇所もの改ざんを行い、それを国会や会計検査院などに提出していた件につきまして、公用文書等毀棄罪、虚偽有印公文書作成及び行使容疑で、2018年4月9日、東京地検に、告発状を提出いたしました。
そして、この告発が5月31日に、他の市民団体などが背任などで行っていた告発とまとめて、一挙に不起訴処分となったことを受けまして、6月13日、大阪検察審査会に申し立てを行いました。
この申し立てに対し、2019年3月29日、大阪検察審査会が、公用文書等毀棄罪に関して、佐川元局長らに対して不起訴不当議決、虚偽有印公文書作成及び行使に対して不起訴相当議決を出しました。
大量の公文書毀棄と改ざんで、まさに民主主義の根幹を揺るがす問題として国民の注目を集めた問題ですが、奇妙なことに、国有地売却に関する大量の公文書の毀棄問題、そして、同じく森友問題とはいえ、別文書の改ざん問題、さらに背任や偽証など個別の事件が、大阪には検察審査会が4つあるにもかかわらず、一検察審査会ですべて一括して審査され、審査員全員が素人であるはずなのに、まとめて議決が出すという乱暴な審査であっただけではなく、審査員の半数が、3ヶ月ごとに入れ替わるにもかかわらず、この議決までに9ヶ月をかけるという、まるで起訴議決が出そうになるたびに引き延ばしたと勘ぐられても仕方がないような議決でした。
これに対して、当会では開示請求を行ったところ、驚くべきことに、従来問題なく開示されていた文書まで、軒並み不開示という、検審の公文書まで隠匿されるのかと疑わせるような事態になっております。
本件に関しては、当会が検察審査会に申し立てを行った事件ではありませんが、「首相に近い立場のジャーナリストの準強姦事件に関し、逮捕状まで出ている事件を刑事部長が逮捕を差し止め、検察も不起訴にした」件について、準強姦の被害者女性である詩織さんが、2017年5月29日に検察審査会に申し立てを行い、その不起訴相当決議が9月22日に出ました。
しかしながら、この不起訴相当議決書が、ほとんど理由が書かれていないという異様なものであったことから、当会では検察審査会に対して、情報開示請求をいたしました。
12月4日付けで、開示通知が届きましたので、12月13日、検察審査会に赴き、開示された書類及び、不開示となった書類のリストを公開いたします。
奇妙なことに、今回から、検察審査員選任に立ち会った裁判官と検察官の名前が黒塗りになっています。
2011年12月15日の陸山会公判で明らかになった、田代政弘検事が、石川議員取り調べに関して事実と異なる捜査報告書を作成し、その虚偽報告書が検察審査会に資料として提出された件に関しまして、当会では、2012年1月12日、田代検事を虚偽公文書作成及び行使罪で、さらに、その報告書を作らせ、検察審査会に提出した人物を、被疑者不詳で偽計業務妨害で、最高検察庁に刑事告発いたしました。この告発は、1月17日付けで東京地検刑事部に回送され、同日、受理されました。
そして、この告発が6月27日に不起訴処分となったことを受けまして、、2012年8月23日、田代政弘元検事を虚偽有印公文書作成及び行使と偽証、佐久間達哉元特捜部長、木村匡良元主任検事を虚偽有印公文書作成及び行使の共犯で、検察審査会に申し立てを行い、同日、平成24年第14号事件として受理されました。
申立書
別紙 最高検報告書の不当性と本件の明白性
別添資料1 田代報告書と石川議員反訳対照表
別添資料2 実際の取調べ状況対照表
別添資料3 最高検報告書対照表
別添資料4 「田代報告書及びインターネットに流出した計7通の報告書」(公開済のものです)
別添資料5 「石川議員録音反訳書」(公開済のものです)
別添資料6 「石川議員回答書」
別添資料7 東京地裁決定が認定した平成22年5月17日の取調べ状況(抜粋)
別添資料8 東京地裁決定が認定した勾留中の取調状況(抜粋)
別添資料9 平成24年4月26日政治資金規正法違反被告事件判決要旨(抜粋)
別添資料10 不起訴に関する各紙新聞報道、社説等
当会の検察審査会審査申し立ては、4月19日付けで、田代政弘元検事に不起訴不当議決が出ていることがわかりましたが、検察審査会の補助弁護士をつとめた澤新(さわ・あらた)弁護士の中立性・公正性に重大な疑惑があることが判明いたしました。
Yahoo!ニュース 江川紹子「検察審査会議決の不透明・補助弁護士はワケあり元検察幹部」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20130422-00024521/
いまにしのりゆきBLOG:「検察審査会の補助弁護人はあきまへんで!」
http://www.imanishinoriyuki.jp/archives/27052931.html
BLOG 八木啓代のひとりごと:「田代元検事不起訴不当議決! その裏の大きな疑惑」
http://nobuyoyagi.blog16.fc2.com/blog-entry-684.html
なぜ、このような補助弁護士が専任されたのか、という点につきまして、東京新聞「こちら特報部」に、「陸山会事件虚偽報告書元検事に『不起訴不当』」「審査員への助言は元検察幹部」「検審の議決を誘導」「公正 疑われる人選」「開かれた司法に逆行」と見出しのついた大きな記事が出ました。
当会では、東京弁護士会に再三に渡り、質問状を送付し、その結果、東京弁護士会は、田代政弘元検事、佐久間達哉元特捜部長、木村匡良元主任検事への虚偽有印公文書作成及び行使、田代政弘元検事の偽証についての検察審査会申立についての補助弁護人を推薦するにあたって、澤新弁護士が、常議員会や推薦委員会にかけることも招集することもなく、会長と副会長だけで、決定したことを明らかにしました。
また、澤新弁護士は、小石川高校で三年間にわたり、該当事件に関係する小沢一郎衆議院議員と同級生であることもわかりました。これは、そのときの人間関係によっては審査補助員としての職務遂行の公正さに影響を与える事実ですが、澤弁護士を推薦するにあたり、「適切かつ公正に推薦」(会規2条1項)することを担保するため、澤弁護士に対し、問題の事件について補助弁護士を忌避すべき事由があるか否かの確認を行わず、また、澤弁護士も、上記同級生であった旨の申告をしなかったことを認めました。
また、東京弁護士会は、澤新弁護士が、検察高官出身であるだけではなく、自らの検察高官の地位・権力によって私的利益を図ったことが疑われる不祥事(具体的には、身内の脱税に際し、検察の封筒を使って、税務当局に圧力をかけたことが問題になった)で、「その地位を不当に使ったのではないかとの疑いが生じる恐れがあり、不適切な行為」として戒告処分を受け、辞職した人物であり、その際には、「検察全体の名誉にかかわることで、申し訳なかった」と話している、いわば、検察に対し、脛に傷を持っている人物である事実を知ったうえで、この経歴を考慮して、あえて、選任したことを明らかにしました。
検察審査会としては、検察を審査する会として、このような検察の不祥事にあっては、検察が隠蔽に走ることを想定することは容易であったはずです。起訴相当議決ではなく、不起訴不当議決を出した段階で、ある意味、結果は見えていたわけであり、素人といえど、その程度のことが見抜けなかった審査員の方の責任は重大であるといえます。
また、この、社会的関心も高い事件においての検察審査会において、元検察高官であり、しかも臑に傷を持つような、到底公正とは言えない経歴の人物を、あえて会議にもかけずに、会長と副会長の独断で推薦を行った東京弁護士会の責任も、検察の意を受けたと誤解を受けても仕方がない人選であり、追及されるべきでありましょう。
本来、検察を「審査」しなくてはならないはずの検察審査会が、事実上、検察の補完機関になっている状態について、当会では、正常化を求め、今後も警告を発し続けていく所存です。
また、2011年4月9日、東京第一検察審査会から、前田元検事の特別公務員職権濫用罪についての当会からの申立に関して、「不起訴相当」の議決が出たとの連絡がありました。
この議決書及び理由書は、こちらからダウンロードできます。
この理由書が驚くべき内容であります。
ある意味、昨年12月24日の最高検の検証報告書と前田の証拠隠滅罪での起訴状を「見事に踏まえた」内容で、ほとんど「結論ありきで、理由は後付け」のようなものとなっています。当会の申立書と追加意見書が訴えていることにも何も答えていません
特筆すべきは、村木さんの裁判で信用性がないと却下され、この理由書ですら「現在においては、供述調書の信用性にも問題がある」とされているような上村氏の供述調書を「誘導的な取調べ等によって供述調書を作成していた旨の報告を受けていたと認めるに足りる証拠も見あたらない」ので、前田検事がそのまま信じたという「ありえないこと」をもって、それが特別公務員職権濫用に当たらない最大の理由としている矛盾です。
小沢一郎氏の検審起訴のケースについても、平均年齢の怪や補助弁護士の誘導が指摘されましたが、ただし、小沢氏の場合、報道のバッシングがあまりにもすさまじかったということもあり、審査員が大手メディア報道にしか接していない人々であるなら、あの結論を出すことは、まったくありえないことではないという見方もできますが、この件に関して、ここまで前田元検事および検察に寄りそった結論が出て、またその論理展開がこのような、あれだけ批判を受けた最高検の検証報告書の見解そのものの内容になるというのは、異様としか言いようがありません。
小沢氏のケースにも言えることですが、「疑わしきは罰せず」の原則を踏みにじって、何の客観的証拠もないのに村木さんを長期拘束し起訴した、ほかならぬ前田元検事に、この原則をもってあえて審理すらせず罰しないというのも、ダブルスタンダードこの上ない結論と言えるでしょう。
さらに奇妙なのは、不起訴決定が出たのが12月24日という年末年始休暇直前(明らかに付審判請求をやりにくくするためとみられます)。今回は、申立書を1月11日に出しているにもかかわらず、震災があったとはいえ3ヶ月以上もかかっていることです。(通常1ヶ月から長くて2ヶ月と聞いています)
前田元検事の公判がスピード判決であったことと合わせ、なにがなんでも証拠隠滅罪での判決を待って、それをもって、素人の審査員を強引に誘導した可能性も高いと思われます。
もちろん、ここまでの曲解があるとなると、審査員に、はたして当会の申立書をじっくり読む機会を与えられたか、どのように審査員が選抜され、何度審議されたのかも疑問であると思います。
また、それと同時に、補助弁護士がどのように選ばれているのかということも正確に明らかにされるべきでしょう。
日弁連から無作為に推薦を受けた弁護士から検察審査会事務局が選任しているのであるのだとして、その検察審査会事務局が検察の影響下にあるのであれば、どこまでも検察べったりの補助弁護士を選任し、さらにその審議内容が公開されないのであれば、その補助弁護士と検察官で、素人の審査員をいくらでも誘導できるわけですし、もちろん、十分な審議を尽くさずに理由書を作文することもできるからです。
つまりこのことで、検察審査会の問題が浮き彫りになったということもいえます。逆に言いますと、すでに疑惑の渦中にある検察審査会は、その存在の正当性を示すことができる大きなチャンスを失ったといえるでしょう。
その他、多数の皆様から、「信じられない」「酷い」「国民不在」等々たくさんの、検察審査会の決定の不透明さに対する批判の声を頂きました。
したがいまして、今後、当会では、検察問題と並んで、検察の補完装置と化したことが明らかな、検察審査会の問題を追及していきたいと思っております。
検審問題を語ろうとすると、すぐに「親小沢」というレッテルを貼りたがる人たちがいます。しかし、私たちはそういう観点からこの問題を見ているわけではありません。
検察が狙いをつけ、リークによってマスメディアを操りつつ、本来、検察の業務を審査するべき機関である検察審査会を、子飼いの武器として利用すれば、総理総裁候補である政治家であってさえも冤罪に落とし、その結果、国家の政局を完全に左右できるという事態は、まさしく、検察こそが、第4権力どころではない、日本を支配する事実上の最高権力であるということを意味します。
ですので、これは、村木さん問題に負けず劣らず、ある意味、それ以上に重要な問題であると考えます。小沢氏を支持するしないの問題ではなく、それが自民党であれ、社民党であれ、共産党であれ、公明党であれ、国民の選挙で選ばれた議員の首を、検察が己の意図で自由に切ることを、断じて許すわけにはまいりません。
これでは民主主義の崩壊です。
小沢一郎氏の強制起訴を決定した検察審査会において、吉田繁實弁護士が、政治家の関係をヤクザの関係に例えるなど、一般常識で判断しても適切とは言い難い例を挙げるなどして、平均年齢が非常に若い審査員を、故意に誘導した疑いが読売新聞に書かれています。
(※参考:2010年10月14日に宮崎学氏が、吉田繁實弁護士の懲戒請求)
それが事実であれば、審査会の意義の根本が揺るがされる極めて不穏当な事態であるため、匿名のまま議事録を公開を求めていきたいと思います。
また、この平均年齢が二転三転したことや、現段階でも数値に矛盾があること、さらに第一検審の審査員の平均年齢と小数点以下2位まで合致するということは、数学的に著しく低い確率であること、また、単に年齢だけから個人を特定することは不可能であることから、各審査員の個別の年齢の開示、ほか、考えられる限りの、可能性のある情報開示を求めていくことで、検察審査会の姿を明らかにしていきたいと考えています。